巷で盛んにおこなわれるようになったウォーキング。
今や手軽に始められるスポーツの代表的な存在となりました。
私も暑い夏以外の季節、健康のための運動としてウォーキングを取り入れています。
実際に行なっている人たちの目的は様々ですが、まずはウォーキングでもたらされるカロリー消費についてご案内します。
ウォーキングのカロリー消費量と計算
一口にカロリー消費量と言っても距離や早さ、負荷の係り具合によってその数値は変わっていきます。
ここでは、METS(メッツ)という国際的にも広く使用されている運動強度の単位で表される数値を使っての消費カロリーの計算式を紹介します。
メッツとは、安静時を1とした時と比べてその活動が何倍のエネルギーを消費するかで強度を表します。
例えば座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行がその3倍の3メッツに相当します。
国立健康栄養研究所の身体活動METS表によりますと、歩行だけで56パターンもの例が挙げられています。
同じ歩行でも、2メッツ(ゆっくり散歩などの歩行、家の中の歩行)から12メッツ(33.6キロ以上の荷物を上階に運ぶ歩行)まであり、同じ歩くでもこんなに運動強度が違うのですね。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトによると、何も意識せずに歩く時のメッツは3、これを活動量を上げた歩き方に変えるだけで、4や5にすることが出来るとということです。
では実際に計算式に当てはめて消費カロリーを比べてみましょう。
3、4、5メッツでそれぞれ計算してみます。
体重50キロの人の1時間歩行での場合、
運動強度3メッツ(平らな固い地面で4km/時の歩行、犬の散歩での歩行など)
エネルギーの消費量(kcal)=1,05×3(メッツ)×50(キロ)=157.5kcal
運動強度4メッツ(通勤や通学の歩行、階段をゆっくり上がる歩行など)
エネルギーの消費量(kcal)=1,05×4(メッツ)×50(キロ)=210kcal
運動強度5メッツ(平らで固い地面で6.4km/時のとても速い歩行、松葉杖での歩行など)
エネルギーの消費量(kcal)=1.05×5(メッツ)×50(キロ)=262.5kcal
このように随分と消費カロリーが違ってきます。
ウォーキングのカロリー消費量を上げる歩き方と距離
では、厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトを参考にこの運動強度を上げる歩き方をご紹介しますね。
・下を向かずに20メートルくらい先を見て歩く。
・歩幅を広げて歩く(普段より5センチくらい先にかかとをつけて歩くようにする)。
・かかとで付いてつま先で蹴るようにして歩く。
・腕をテンポよく振る(腕の振りが小さいと身体活動量が減る)。
・きついと感じない程度に普段より早く歩く。
以上が運動強度を上げる歩き方です。
こうして運動強度を上げることでメッツが大きくなり、カロリー消費量も増えていきます。
では距離についてはどうでしょう。
上記の消費カロリー式でも分かるように、歩いた距離が問題なのではなく、どのようなやり方でどのくらいの時間活動したかで高い消費量を生み出すことが出来ます。
沢山の距離をだらだら歩いてもメッツ(運動強度)が低い上に時間だけは消費することになってしまいますので、効果的なウォーキングの面から考えると、距離を意識する必要はないでしょう。
ウォーキングのカロリー消費量とは別に歩数と健康の意外な関係
そして、活動強度を上げるための歩き方は前述しましたが、ウォーキングの歩数に関して、ここ1年くらいで新しい考え方が提唱されていますので、紹介しますね。
ついつい最近まで沢山歩けば歩くほど、健康に良いと思っていた私です。
厚生労働省でも1日10000歩歩くことをを推奨しているではないですか。
しかし、ここのところどうもこの説があまり正確ではないようなことが分かってきたのです。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏が実際に群馬県のある町の高齢者5000人を対象とした調査で得られた結果を元に昨年「やってはいけないウォーキング」という書籍を出版されました。
この調査は活動量計を使用したもので、15年間、24時間365日!に及ぶものですが、この研究結果は健康意識の高い現代人の注目を集めたようで、ここ1年でも青柳氏は多くのメディアのインタビューに答えていらっしゃいます。
*活動量計とは、歩数計が歩行に関しての歩数や消費カロリーを表示するのに対して、歩行以外にも家事やデスクワークなど様々な活動を測定する機器で、1日の総消費カロリーを算出できるもの。
まず、歩いて筋肉や体力を付けることは出来ますが、関節を鍛えることは残念ながら出来ず、むしろ磨り減ってしまい、痛みが出てきてしまうということ。
また、歩きすぎにより、外反母趾や開帳足、魚の目といった足のトラブル、間違った歩き方のままの長時間歩行で神経を痛めてしまう人もいるということです。
歩きすぎの目安は疲労感だそうで、歩いた後や翌日に疲労が残っているということは歩きすぎなのだそうです。
過労は免疫機能を低下させますから、様々な病気に繋がっていきますね。
過度な運動は活性酸素を溜まりやすくもします。
活性酸素が溜まるということは、身体がさび付くことだそうで、老化やがんなど生活習慣病の原因にもなるというのです。
そして、適度な運動は血流の流れを良くしてくれますが、やりすぎると逆効果!急な高血圧によって、心筋梗塞や脳卒中を起こしかねません。
では、どれくらいの歩数のウォーキングなら良いのでしょう?
青柳氏の提唱しているウォーキングの歩数とやり方は、「1日8000歩。その中に20分の中強度の運動を取り入れる」というものだそうです。
*中強度の運動とは、なんとか会話できる程度の速歩き。
因みに、低強度は鼻歌が出るくらいののんびりした歩き方。
高強度は競歩のような会話ができないくらいの歩き方。
年齢によっては、8000歩→5000歩、中強度の運動20分を→7分にしたり、臨機応変に無理のないようにということ。
骨粗鬆症の予防には特にしっかりとした大股で歩くこと、日光を浴びて歩くことなども掲げられています。
ウォーキングのカロリー計算のまとめ
今や手軽に始められるスポーツの代表的な存在となったウォーキングですが、その消費カロリー算出には運動強度メッツの数値を使用した計算方法が一般的です。
同じウォーキングでもやり方によって消費量を上げることができますので、自分に合った方法で無理なく進めましょう。
消費量はどれくらいの距離を実行したかよりもどのようなやり方でどれくらいの時間実行したかで決まります。
いままで、1日10000歩歩くと身体によいという定説がありましたが、健康面を考えると8000歩くらいで中強度の運動を20分ぐらい入れて歩く、(年齢、身体の状態によってはそれ以下)で充分効果を発揮することが出来、逆にやり過ぎは良くないという調査結果による提案が最近研究者によってされました。
ついつい沢山歩いて健康になりたいと頑張ってしまう私もほどほどが良いのだと肝に銘じました。
皆さんも、無理なく効果的なウォーキングをエンジョイしてください。