七夕の季節になると、話題に上る織姫と彦星のお話ですが、実際、どんな星なのでしょうか。
夏の夜空にひときわ大きく輝く2つの星があります。
七夕のロマンティックなお話を星座や神話を交えてご紹介しますね。
七夕の織姫と彦星はどんな星なの?
夏の七夕の季節、夜の9時頃東の空にこれらの2つの星を見ることが出来ます。
織姫星はこと座という星座の一等星(ベガ)、彦星はわし座の一等星(アルタイル)です。
星の色はどちらも白色。
星は色によって表面温度が違います。赤色が約3000℃、黄色6000℃、温度が高くなるにつれて、星の色は白っぽくなり2万度を超える星は青白く輝きます。
白く輝く織姫星と彦星は9000℃~8000℃で太陽よりも倍近く熱いのです。
どちらの星も昔から親しまれてきた明るい星で、その明るさは市街地でも見つけられるほどです。地球から織姫星までの距離は25光年、織姫星から彦星までは16光年です。
光年というのは、光が一年間に進む距離の単位で、25光年だと光の到達に25年、16光年だと16年かかるのです。
つまり、織姫と彦星が光の速さでメールのやりとりが出来たとしても片道16年もかかってしまうということなのです。宇宙って広大ですね。。。
七夕の織姫と彦星の星のある星座
星座というのは、一つ一つの星の地球からの距離もまちまちで、その見た目には特別意味はありません。地球から見て同じ方向に見える星をいくつかのグループに分けるために星座を使っています。肉眼で見える恒星はすべて88個の星座の中に入っているのです。
天文学という学問で星座の名前で星を呼ぶところがなんともロマンティックですよね。
七夕の織姫星のある星座はこと座、彦星のある星座がわし座です。
この星座ですが、メソポタミア文明以前にその原型が出来ていたそうです。
その後、ギリシャに伝わり、星座にギリシャ神話がつけられました。
この頃の星座は現代まで多少の紆余曲折はありましたが、16世紀の航海による南半球の星星も加えられ、現在の88星座が確立したのです。こと座もわし座もギリシャ時代からあり、ギリシャ神話にもなっています。
我が家に小さな物干し用の屋上があるのですが、東側が森林で夜の9時には、織姫星も見ることが出来ません。
ですので、晴れた夜空、こと座やわし座を見るためには、ちょっと夜更かし?して、12時過ぎくらいからの観覧になります。
この時間には南の天頂付近に上がってきますので、周囲が明るくなります。
七夕の星座!神話のあれこれ
星座の神話といえば、ギリシャ神話が有名ですよね。ただ、七夕のお話は中国の行事である七夕が奈良時代に渡り、日本古来の棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさり、生まれたお話だそうです。
中国には今の星座というものはなく、恒星をグループ化した星官を元に天文観測をしてきました。中国から日本に七夕の行事が伝えられた時も、織女牽牛伝説(しょくじょけんぎゅうでんせつ)の織女の星と牽牛の星として表されています。
織女牽牛伝説(しょくじょけんぎゅうでんせつ)
大昔のこと、天の川のすぐそばに天の神様が住んでおり、神様には織姫という一人娘がおりました。織姫はその名のとおり機織が上手で、神様たちの着物を毎日織っていました。やがて、適齢期になった娘のために天の神様は、天の川の岸辺で牛を飼っている、彦星という若者を探し当てました。彦星は大変立派で、織姫も美しく二人はお互いを気に入り、結婚しました。結婚後は毎日が楽しくて仕方がない二人は、仕事をしないで遊んでばかりいるようになってしまいました。織姫が機を織らないので、皆の着物はほころび、牽牛が牛の世話をしないので、牛は死んでしまいました。それを知った天の神様は大変怒り、二人を天の川を跨いで引き離してしまい、真面目に働くことを条件に一年に1回だけ、7月7日に逢うことを許されました。その織姫と彦星の橋渡しをしたのが、カササギという鳥でした。ちょうど天の川に横たわる白鳥座の白鳥の尾っぽにあたる部分の星、デネブがこのカカサギです。有名な夏の大三角形を作るのは、織姫星(ベガ)、彦星(アルタイル)とこのデネブなのです。
ちなみにこの3つの星が含まれるギリシャ神話も載せておきますね。
こと座に神話
発明の神ヘルメスの作ったライヤー(琴)はアポローンから息子のオルペウスに譲られ、オルペウスは有名な音楽家になりました。その後、オルペウスの娶った妻が蛇に噛まれて死んでしまい、悲しんだオルペウスは冥神ハーデースに、琴を弾きながら妻を戻してくれるよう頼みます。
ハーデースは琴の調べの美しさに、途中決して振り返ってはならなないという条件付きでオルペウスの願いを聞き入れました。
しかし、帰る途中、オルペウスは後ろを振り向いてしまい妻は戻ることなく、オルペウスは悲しみに身を投げて死んでしまいました。その後川に流れていた琴をゼウスが拾って星座にしたそうです。
(振り向いてはいけないと言われて、思わず振り向いてしまうというのは、何を表しているのでしょうか。神の言葉を信じられず、振り向いてしまい、願いが叶わなかったのでしょうか。)
わし座の神話
わし座の鷲は美しい少年であるトロイアの王子ガニュメーデースをゼウスが神の宴の給仕をさせるために遣わせたものです。ゼウス自身が変身した鷲とも言われています。
白鳥座の神話
ガチョウに姿を変えて逃げようとした女神ネメシスを捕えるために、ゼウスが白鳥に変身したものといわれています。
まとめ
七夕の織姫と彦星について星座や神話を交えてまとめてみましたが、いかかでしたでしょうか。
星座の歴史は古く、今認められているものもギリシャ時代に確立されたものが元になっているとは驚きますよね。昔の人と同じ星を神話で共有しながら眺めているとはなんとも不思議な気持ちになります。
七夕の日に限らずお天気のよい日にぜひ夏の夜空を見上げて見てください。