お雛様を揃えるときには、親王飾りだけの場合。三段飾りや五段飾り。七段飾りまであります。親王飾りは男雛と女雛。三段飾りですと、三人官女とお道具類が一段づつに占められます。五段飾りの場合は五人囃子で一段、右大臣、左大臣、仕丁三人で一段、最後の段にお道具やお輿入れ道具が置かれます。
では、七段飾りの四段目から見ていきますね。
お雛様の飾り方で左と右は?三人官女と五人囃子の順番と種類 お道具は?からの続き
お雛様の飾り方 右大臣と左大臣は?
お雛様の飾りの四段目は随身といってお内裏さまをお守りするお役目の警護官が二人、左右に配置されます。年を取っている黒い武官束帯姿の随身は左側(向かって右)になります。
衣装着雛人形ですと白いひげを伸ばしているので分かりやすいです。木目込み雛人形ですと顔は同じなので、衣装の色で見分けます。もう片方の若い随身は緋色の武官束帯姿で右側(向かって左)に来ます。
長年の経験からの年の功と若者の体力面でのバックアップでバランスが取れていますね。サトウハチローのうれしいひなまつりの歌詞にあかいおかおのうだいじんとあり、この二人が右大臣、左大臣と呼ばれていることがわかりますが、
実際は弓矢を持って警護に当たるこの二人は、武官ですので、向かって右の左近近衛中将(黒色・年上)向かって左の右近衛少将(緋色・年下)になります。
頭には、警固の任務の時に着ける巻纓冠(けんえいかん)をかぶせ、左手に弓、右手に矢の羽根を下に向けてもたせます。背負い矢は、向かって右の肩の後ろに羽根の先が見えるようにします。 二人の随身の真ん中に菱餅と掛盤膳(かけばんぜん)を置きます。
お雛様の飾り方 仕丁って何をする人たち?
次の五段目は、宮中の雑役(徭役ようえき)を地方の庶民が食費自己負担で勤務していたといわれている人たちです。
三人の顔の表情は泣いている顔、怒っている顔、笑っている顔で雑役に付いている生活に怒ったり、泣いたりして文句を言っているとか最後には笑った顔になったとか。。。人生そのもので泣くようなことも怒りたくなることもあったが、最後には笑って終われるようにという願いも込められているのでしょうか。
並べ方は泣いたり、怒ったりの仕丁の順はどちらでもよいというものと、沓台を持った怒り顔の仕丁が真ん中に来るという謂れと、二通りあります。いずれも最後に笑うという順で笑っている仕丁が右端に来ます。この三人は泣き上戸、怒り上戸、笑上戸とも呼ばれています。
泣いている仕丁が持っているもの熊手(台笠/京風)
怒っている仕丁が持っているものちり取り(沓台/京風)
笑っている仕丁が持っているものほうき(立傘/京風)
右近の橘と左近の桜とは?
三人の仕丁の両脇に橘の花木と桜の花木が置かれます。
右近の橘(うこんのたちばな)とは
平安京の内裏の中にある紫宸殿(ししんでん 内裏での天皇元服や節会などの儀式が行われていた正殿)の階段の上から庭を見て右側に植えられている橘の花木のこと。柑橘類ですが、現在普段食べている温州みかんよりも小粒です。
左近の桜(さこんのさくら)とは
同じく紫宸殿(ししんでん)の階段の上から庭を見て左側に植えられている桜の花木のこと。御所左近の桜(ゴショサコンノサクラ)という品種名になっています。
熊手やほうきやちり取りを持っている仕丁たちは、この橘と桜の木の手入れをしていたのでしょうか。
お雛様の飾り方まとめ
お雛様の飾り方で雛人形が勢ぞろいで段飾りにすると、七段になります。
一段目に親王を飾り、二段目に三人官女、三段目が五人囃子、四段目右大臣、左大臣
五段目に仕丁の泣き上戸、怒り上戸、笑上戸の三人、六段目~七段目に嫁入り道具やお輿入れ道具が置かれます。
一つ一つ謂れや逸話を見ていくとお雛様から始まって大変興味深い事柄につながっていきます。そんな昔に思いを馳せながら、ひとつひとつ大事に並べたり、仕舞ったりすることを一年に一度のたおやかな暮らしの習慣に出来たらよいですね。